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桃のいろいろ

このところずっとこのホームページを更新していなかったので、心配してくれた人がいます。お礼の気持をこめて、当方つつがなく無事でいることを御報告致します。一ヶ月ほど何も書かなかったのは、ちょっとまとめて考えてみたいと思っていたことがあったからです。いずれ書きます。今日は別の話題。

敬愛する夷斎石川淳先生に『敗荷落日はいからくじつ』という烈々たる文章があります。永井荷風への追悼文ですが、「一箇の老人が死んだ」という書出しは人を驚かせたものです。が、その内容にはわたりません。今の話題は年齢のことです。荷風の享年は80歳でしたし、夷斎先生は60歳でした。文学者の老年ということをしみじみ考えます。後輩に「一箇の老人が死んだ」などと言われたくありません。

「荷」は蓮の葉という意味だそうです。「敗荷落日」とは枯れた蓮の葉 ッパに西日があたっている光景です。これを文人荷風老残のメタファーにしたのはさすがです。

ここで僭越ながら私事になります。拙老 なまじ「桃叟」などと号したものですから、言葉に困っています。「桃」には老境を示す語がないのです。「敗桃」という熟語はありません。「枯桃」もない。「廃桃」「頽桃」「腐桃」「枯桃」――どれもダメです。どなたか良案を教えて下さい。とてもおこがましくて「仙桃」などとは名乗れません。呵々。

 

 

 

コメント2件

 高橋成江 | 2022.10.17 12:11

ご無沙汰しています。都立北野高校の古文を教えていただいていた生徒です。お元気そうでなによりです。先生の「洪水の後」「吠え声・叫び声・沈黙」が本棚に鎮座しています。覚えていらっしゃいますか?

 ugk66960 | 2022.10.17 12:59

なつかしいですねえ。もうかれこれ55年前の事で、人名はすっかり記憶から消えましたが、お顔の残像が浮かび出ます。あれがきっと貴姉なのだろうと思います。

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