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老い支度

拙老も行末を考えなくてはならない年齢に達しましたので、人並みに遺言書を作ることになりました。さっき公証センターから帰って来たところです。老い支度です。感慨ひとしおです。作成した書類は向う120年間保存されるとハゲの公証人さんが言いました。当方は135歳まで生存する予定だと言ったら笑っていました。ともかくこれで一段落付いたので、夫婦そろってほっとしています。

ゆうべ面白い夢を見ました。猫のDJの夢です。

夢の〈私〉は、ニューヨークかボストンか東部の大都会の郊外にある廃棄された工場跡にいました。仲間がいました。ミュージシャンのグループか何かで、新盤を売り込もうとしてうまくゆかず、やむなくこれで解散しようということになっていたようです。その建物には、持ち出す荷物を詰めたダンボールの箱がたくさん置いてありました。それぞれにレコードプレイヤーと猫が1匹ずつ入っていました。たいがいは白猫でした。猫たちは長いこと箱に閉じ込められていたので、すっかり衰弱しきっています。ろくに腰が立たず、起こしてもプレーヤーの回転盤の上に下痢をしてへたばってしまいます。

中に1匹だけ元気なのがいました。毛艶のよい黒猫です。毛皮ばかりではなく、生き生きした目をクリクリさせています。いかにも見どころのある猫なので、期待して回転盤に載せました。LPレコードが回りはじめました。猫はふり落とされまいと懸命に足を踏ん張り、レコードの溝に爪を立てます。すると、どこかのスピーカーから素晴らしいメロディが流れ出しました。題して『黒猫のブルース』。やった!〈私〉と仲間たちとは大いに満足してうなずき合いました。

どうもそれから夢は、〈私〉のミュージシャンのグループがその曲をデモテープにして音楽会社に売り込み、大成功を収めるというハッピイエンドの物語に発展したみたいなのですが、残念ながら途中で醒めてしまいました。めでたしめでたし。