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「八十とせを」「うたた寝の」連作 

「八十とせを」連作

〽八十とせを経来しは夢か津の国は風に声なく浜に波なし

〽世はもみぢわがうつそみの津の国は空に色なき冬木立かな

〽風寒しいざや急がん芦浜に我を待つらむ人影の見ゆ

〽先立ちてわれを待ちをる斑猫はんみょうは魂住む里の道を教へよ

〽今朝よりは何をせんにも気侭なる日々の多さよ叱られたきに

 

「うたた寝の」連作

〽うたた寝の夢の逢瀬は短くてひとり目覚むる老いのみどり兒

〽みずがきに汝を招ぎぬ形代に魂帰り来るものならなくに

〽なれは客われは馭者なり一筋に時間とき駆け抜ける夢の馬車道

〽見し夢に色も象かたちもあらざりき「淋し」と叫ぶ一声のあり

〽見し夢はただ抽象のアラベスク線は躍りて闇に流れる

〽いとせめて月だに照らせ足弱の行きなずむなる黄泉平坂よもつひらさか

 

コメント1件

 赤飯 | 2019.11.17 9:28

もみじ葉に狐身を変へ抱きたり
子狸一人丸み寝たれば

芳子さんと野口先生のことを思っております。拙い歌で申し訳ありません。

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