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昭和昔話集6――ウズラは何と鳴くか?

昭和56年(1981)に世を去った伴淳三郎というコメディアンがいた。「バンジュン」という愛称の方がよく知られている。いろんなギャグを作ったが、中でもいちばんウケたのが「アジャパー」というセリフだった。驚きと困惑を表す感嘆詞だそうだ。バンジュン扮する人物が困り切って天を仰ぎ、こういって両腕を広げる。この仕草が江湖に大流行して、三歳の童子までが「アジャパー」とやって周囲を笑い転げさせたものだ。(写真派はウイキペディアによる)

たしか1975年に、アメリカ東部の大学で日本古典を教えたことがある。学生は非常に優秀で、『伊勢物語』などをけっこうよく読む。百二十三段の深草の女の歌に「野とならば鶉となりて鳴きをらむ狩にだにやは君は来ざらむ」という有名な歌がある。なんとか無事に切り抜けたと思っていたら質問が出た。「そのウズラはどう鳴いたのですか」。予期せぬ質問だった。たじろいではならない。まことしやかに答えた。「深く茂った草叢に身をひそめて、ポーオ、ポーオと鳴くのです。」

しばらくして帰国したら、日本では辞書に音声が付くようになっていた。「鶉」の項で鳴き声を聞いたら、なんと「アジャパー」だったではないか(広辞苑)。

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