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トランプ騒動管見

世の動きのテンポがどんどん速くなっています。今やたんなる速度ではなく、加速度がついて世の全物象・事象が動き出したような気がします。すべての天体が支配される自転・公転の法則の作用域とは他の所で、別箇の存在物が回転運動のスピードをぐんぐん上げていると感じられます。

世界政治では、アメリカにトランプさんが出現して以来、物事を動かす歯車のギアが上がったようです。やたらに即断即決を急いで いますから、他の国々も否応なく釣り込まれてテンポを合わせなくてはなりません。矢継ぎ早に繰出される大統領令に次々に応接しなければならないので、いつのまにか先方の時計の針の進む速度が基準になってしまうのです。そのうち地球全体にグリニッチ標準時ならぬワシントンDC標準時が強制されるかもしれません。グローバリズムが単一の世界空間を生んだように、単一の世界時間が作り出される可能性もなしとしません。古代ローマ帝國なみの世界権力が時差や時間帯の制度を撤廃し、地球上に画一的な時法を採用させれば済むことですから。

トランプさんに大統領令を乱発させている根本原因は「移民問題」です。世論調査で大統領令に賛成する声が49%を占めているという数字は、アメリカが「保守化」したことではなく、これまで意見の相違があっても論争で解決する、できる、という「民主制」をタテマエにして来た社会に実は階級対立が存在していたこと、今後はそれを軸にとって社会組成を考えなくてはならなくなったことを意味します。

今日(2月1日)に入った新しいデータによれば、アメリカ社会で、トランプさんの「入国制限」政策に賛成した人は51%に達したそうです。タテマエをかなぐり捨てた人々のホンネはこんなものでしょう。移民排斥ということではアメリカもヨーロッパ諸国なみになったわけです。日本も遠からぬ未来、いずれそうなるでしょう。

世界空間が単一化するとは、全地球規模で市場化が進行することです。商品市場・資本市場と進んできた広域化は、ついに労働市場の国境をなくしました。資本はより安い労働力を探して自由に越境するし,労働力はより高く賃金を支払う雇用主を求めて移動するでしょう。それが世界史の常態になっている時代に、自国の非移民労働者の雇用機会が狭められたとクレームを付けるのは時代錯誤(アナクロ)です。トランプさんは、世界資本主義の時代に一国資本主義の《倫理と精神》を語っているわけです。

ですから昨今の拙老は、外界の緊張が高水準をキープしているので、内界にストレスが溜まらないのです。最近のアメリカを観察することが、日本の場合の予行演習をさせる機会になっているというところでしょう。近々のうちに何かが決著する予感がします。

目下の拙老の関心事はもっぱら,初めに「何か独自の界域で回転運動のスピードがぐんぐん上がっている》と表現したような加速度を得ている実体が何であるかをつきとめることにあります。漠然と比喩的な表現のように感じられるかもしれませんが、拙老の周囲で何かが――あたかも独楽(こま)の回転のように――しだいに澄み切ってゆくような生理的実感があるのです。 了

 

 

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