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『元禄六花撰』発刊おひろめ

長いことお待たせしましたが、拙老懸渇の作品集『元禄六花撰』が講談社から刊行される運びになりました。これまで主として幕末の時代に題材を求めて書いてきた拙老が、一挙に200年もさかのぼって「元禄」の世界からスタートを切り直したわけですし、また、これまでとかく小説だかエッセイだか分からないという批判があった作風も、この作品集からは、小説スタイルを基調とする《ネオフィクション》ジャンルをめざそうと決心したこともあり、出版までに時間がかかりました。が幸い理解のある編集者に恵まれて今回の発刊に至りました。

刊行日は2018年、つまり来年の1月17日です。アマゾンでは1月18日からだそうです。内容は今年1月13日に「新刊御披露目」として予告しましたように、6篇の小説で構成していますが、ちょっとだけ変更があります。『チカラ伝説』は次の作品集(仮題『元禄六道絵巻』)に回して、代わりに『大奥のオイチョカブ』を加えます。江戸城大奥には春日局かすがのつぼね遺愛のトランプ一組が伝わり、それを使って幕府高官がカード勝負を競い、最高人事を取り決めるという物語です。勘定奉行荻原重秀や新井白石も登場します。後の5篇は以前ご紹介した通りです(「新刊御披露目」参照)。元禄は何も忠臣蔵だけではない。心中事件始めフツーの男女の、イヤになるくらい日常的な事件があちこちで起きていたのです。

まさに帯封のコピーにあるように、「どこが違うんや? 元禄と平成」といったところです。帯封を取った本書カバーの写真には足袋を履いた足が写っていますが、実はこの画像には本書でも重要な役割を果たす人形浄瑠璃『曽根崎心中』に引っ掛けた絵謎が篭められています。ふつう文楽では女形おやま人形に足はありません。しかし、『曽根崎心中』のお初にだけは例外的に足があるのです。天満屋の場面でお初徳兵衛が心中を決意するくだりで、この足がクローズアップされることは周知の通りです。掲げたのはその舞台写真ではありませんが、いかにもぴったりです。

朗報がもう一つあります。『花の忠臣蔵』が中国語訳されるそうです。あの国でもまだ「忠」とか「義」とかの徳目に興味があるのかとくすぐったい気持になりました。初版は4000部とのこと。有難い話です。ひょっとしたらわが母国より多いかも。人口が多いせいでしょうか。   了

 

 

 

 

 

 

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