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『囀りに』歌仙初ウ1選評

いやあ、有難いことです。

この『囀りに』歌仙も、諸兄姉のおかげで、いよいよ初折の裏に入ることになりました。第二ステージ入りです。句順はその1句目、いわゆる「折立」になります。今回も付け勝ちの形になるよう公募方式を呼びかけたところ、嬉しいことにたいへん盛況で、なんと全部で5句の投稿がありました。紹介します。配列は到着順です。

① 酒盡きてさても夜長のプルースト 碧村
② 秋風の吹き抜けてゆく不破の関  三山
③ 野分晴れわがたましひもタブララサ 里女
④    銃声に獣等(ケモノラ)逝きし秋の山 綺翁
⑤    闇騒ぐ野分の朝髪梳きぬ 湖愚

うーん。捌きする身としては嬉しい悲鳴です。どれを見ても個性タップリ。兄たりがたく弟たりがたし。玉々混淆(「玉石混淆」なんて恐れ多くて言えません)、いずれがアヤメカキツバタとはこのことです。でもこの中から1句だけ選び出さなければなりません。それぞれに方法的難癖、修辞的イチャモンによって選評に変えることにしようと思います。

①読書の秋ですね。右手に酒杯、左手に詩書という構図は一幅の文人画を連想させますが、読むのがプルーストとはねえ。句中の酒はワインぐらいでないとしっくりこない。ちなみに「葡萄」は秋の季語。オヤマア、これは若師匠に対して釈迦に説法でしたネ。
②端正ですが、あまりに古典的・格調主義的で、舞台の書き割りみたいです。三山子はお仕込みが正統派なのでしょう。
③台風一過の空のすがすがしさが感じられます。「タブララサ」は若干トカゲを食べた後殊勝な顔をしている猫の顔を思い起こさせますが、まあいいでしょう。ケロリとした魂の外景をよく言い取っています。。
④綺翁子の血脈中にはいい年をしてまだ殺伐に騒ぐものが流れているようです。紅葉を見れば射たれたケモノの流血を連想し、秋風の音を聞いても、そこに轟音一発を幻聴してしまう等々です。俳句を作って魂鎮めをしましょうね。
⑤戸外で夜じゅう風が吹きすさんでいた宿で、翌朝、この句主はもつれた髪を梳いてやっているわけです。前夜、何をしていたんでしょうね。それにしても、出番がワンテンポ早いよ。句順表に見られるように、次の初ウ2から「恋句」が二句つづくよ。恋の座は別に位置が決まっているわけじゃないから、いいといえばいいのだが、こういうのを普通「待ちかねし恋」と言いますね。

さて、これら5句の中からどれを選ぶかですが、折立は「追っ立て」とも言うくらいで、初裏12句の、歌仙第二象限といえる連続の新出発の節目ですから、ここで気分一新、連衆一同を清新の気分に追い込みたいものです。里女子の作が漂わせるアッケラカンとした空気感がこの際ピッタリしていると思います。採用しましょう。

折立の句からは、表6句の「神祇・釈教・恋・無常・述懐・旅体」の禁制はもうありません。皆さん、どうぞのびのびと初ウ2(通しで8句目)を競って御投句ください。「恋」の短句ですぞ。  了

コメント7件

 湖愚 | 2019.09.02 19:20

句意が独りよがりだと、おしかりを受けそうですが、
参加します。

「比翼連理や宵の川風」

 綺翁 | 2019.09.03 12:40

僕も里女さんのように誹諧の流れをふわっと浮き上がらすような句を作りたいのはやまやまなれど、ですね。でもタマ鎮めに励めばいつかはと思いつつ一句。体言止めが続くのは気になりますが、名は閻魔帳恋い狂いしてではしっくりこないのでこっちです。
 
 恋い狂いして名は閻魔帳

蛇足 熊はどこかで蜂蜜嘗めて肥えていってるのでしょうかね。蜂蜜の収穫期ですし。

 三山 | 2019.09.10 13:05

初学の栞までいただきながらうまくいきません。とりあえず
「たそがれときを離れて歩く」

 三山 | 2019.09.10 13:32

秋ですか、うまくゆきません難しいですね。
「たそかれときを離れて歩く」

 ugk66960 | 2019.09.11 15:24

三山子の御投句は、初ウ2の候補の4首目です。ぼつぼつ選考にかかります。

私信ですが、房総に台風直撃、お見舞い申し上げます。

 三山 | 2019.09.12 20:10

同じ句を二度送ってしまいました。すみません。
台風見舞い恐れ入ります。幸い私の住んでいる辺りは、ほぼ被害なしですみました。
三山

 三山 | 2019.09.15 19:37

変更はありですか?
「身は末枯れど二枚の切符」
三山

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