toggle

『花の忠臣蔵』が新刊されました

 

__

新刊『花の忠臣蔵』が発売されました。12月14日の討ち入り記念日を当て込んでいます。この一冊で、これまで『忠臣蔵――赤穂事件・史実の肉声』・『忠臣蔵――「喧嘩」から見た日本人』・『花の忠臣蔵』と続けた忠臣蔵三部作は打ち留めとなります。

作者には、この忠臣蔵シリーズを通じて見えて来たものが一つあります。それは、日本に底流する時間のうちには、独自の波形を持った歴史のパターンがあって繰り返し表面に現れて来るのではないかということです。少なくとも、江戸元禄と平成の現代日本との間には、たんなる類似性にとどまらぬ原質的な同一事象の再現が見られます。

どちらの時代でも、人々は常に自分の意志、自分の選択、自分の責任で、自主的な行動を取っていると信じています。ところが多くの場合、人間の行為は当人の恣意や主観を越えて、知らず知らずに、客観的な条件のもとでそうせざるを得ないという拘束を受けています。どうも根源は、日本では元禄の頃から万能の力を揮い始めた貨幣にあるようです。貨幣はその所有者にもままならぬ力を持っています。元禄でも平成でも、人間社会は「貨幣の専権」に振り回されています。

『花の忠臣蔵』の世界では、赤穂事件がその当事者ばかりかその周辺に、近くから遠くまでを、上は将軍から下は庶民までを、どんなに広く深く巻き込んだかを描いたつもりです。右の眼に元禄時代、左の眼に現代を配置して、さながらステレオスコープのように浮かび出る立体的な視界から、拙老のいう反復的・回帰的な歴史のパターンを感じ当てて いただければ幸いです。

コメント





コメント

画像を添付される方はこちらで画像を選択して下さい。