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平成丁酉年頭

ことし平成29年、2017 は干支でいうなら丁酉(ていゆう)、「ひのととり」に当たります。この干支を見て多少ドッキリしない人は、本当に若い世代に属するか、それとも年相応の見識を身に付け損なったかのどちらかです。「丁酉」は、なるほど三善清行(みよしきよゆき)の『革命勘文(かくめいかんんもん)』にいう「辛酉革命」「甲子革令」「戊午革運」ほど有名ではありませんが、十干の「丁」と十二支の「酉」との組み合わせは、昔から何か変事の多い年だと言われています。ホンメイではないが、まあダークホース的に波乱ぐるみの胡散臭い年にランクされているというところでしょう。

拙老はそれほど暦運循環説を信じているわけではありませんが、一人や二人ではなく、一国すべての人々が「今年は変事が起こる」と信じ始めたら、それはつまり変事が起きたことなのです。『徒然草』にも「狂人の真似とて都大路を走らばすなわち狂人なり」というじゃないですか。そう思えば、去年から今年にかけて変乱はすでにいろいろ立て続けに起きているようです。自然災害だけでもこのところやたらに地震・台風・火事が続きます。後期高齢者の交通事故もです。やれやれ。

世界中もおかしくなっています。トランプが次期アメリカ大統領になり、日本でカジノ法が成立し、2016年の「今年の漢字」は「金」になりました。取り立てて異常ではないと思われるかもしれませんが、今これを①トランプ②カジノ③金と三題噺風の縁語で並べると関連が見えて来ます。一つ一つでは、相互に独立して起きる事柄が実はつながりがあると判って納得するのです。偶然の出来事の継起がすべて統一した意味があるように感じるのは精神疾患だそうですが、だとすれば世界中がビョーキなのです。

拙老のイジワルな予想では、わが国はいずれ遠からず、壮大なアナストローフ――笑い死的狂躁状態のうちの破局――を迎えることになっているのですが、今年あたりからいよいよ、そういう局面へのサイクルが始まったのではないでしょうか。以下、平成丁酉連吟11首。

とりどりに年取る人はあるめれど吾は若やぐひのととりどし

昔から命(めい)革(あらた)むと言い継ぎつナメタラアカン丁酉(ていゆう)の年

老帝も退位をすなるかぐつちの火のとの酉は改元の年

すめろぎは天津みくらを降り給う火のとの鳥の荒きすさびに

年経(ふ)れどナルシシズムは衰えず羽振り見せばや老鶴のわれ

寒空に入日かたぶく夕景色風をこらえて老鴉(ろうあ)うそぶく

夕暮に老い梟は飛びたちぬめざすは白きミネルバの肩

われこそは鳥のピカ一荒磯のひとり鴎のなぞ潔(いさぎよ)き

白鳥は常世(とこよ)から来る使いなりわれに聞かせよ神の睦言

烏さえ姿を見せぬ寒空に凍(い)てんとしつつ残る夕映え

鶴に乗り空を翔りぬ初日の出下界によどむこぞのつごもり

 

 

 

 

 

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